2022.07.27多様化する「洗面空間」、デザインと実用を両立
コロナ禍で手洗いの大切さが再認識されています。感染予防対策として、
個人で出来る対策の最初に声が上がると思います。
帰宅してどこで手を洗いますか?と聞くと多くの人が洗面台(室)と答えています。
昔は、洗面室と言えば、併設されたお風呂を利用するための脱衣室も兼ねた
洗面脱衣室という考え方が一般的でした。
最近では社会環境の変化により、来客時にも洗面台を使用されるケースが増え、
洗面室は家族だけが使うプライベート空間ではなく、パブリック空間としての
役割を果たすようになってきました。脱衣室と洗面室を分けて考える方も増えてきました。
脱衣室、洗面室に続いて必要になってくる空間が物干しスペースです。
実際に自分の生活スタイルにどのような洗面空間が合っているのか考えてみましょう。
目次
■洗面室と脱衣室を分けるメリット、デメリット
■洗面台はどこに設置するのが良いのか
■身だしなみはどこで整える?
■洗濯はいつして、どこに干すのか
■脱衣室にも変化
■まとめ
■洗面室と脱衣室を分けるメリット、デメリット
当たり前に洗面脱衣室という言葉が使われてきました。
洗面台の置き場所はそこが正解とでもいうように脱衣室の洗濯機の脇に設置されてきました。
しかし、お客様から不満の声も多く聞きます。
例えば・・・
・家族がお風呂に入っていると洗面台が使えない。
(特に年頃の娘さんを持つ父親は気にしています。)
家族が多いとずっと誰かがお風呂に入っているので歯を磨きたい、髪を乾かしたいと思っても
好きなタイミングで洗面台が使えない状態になってしまいます。
入浴に介助が必要な家族がいる場合はさらに長時間になる可能性があります。
・朝の身支度で争奪戦が起こる。
共働き夫婦の場合、家を出る時間はほとんど変わりません。
そこに子供達まで加われば争奪戦です。歯磨き、洗顔、スタイリングなどなど・・・
洗面台でする朝の準備は思っているより多いのです。
年頃になれば1人当たりの時間は増えるばかりです。
・来客時に手洗いをしてもらう場所がない。
基本的に脱衣室も一緒になっているので洗濯カゴや洗剤、タオルなど生活感が溢れる場所に
お客様に足を踏み入れて欲しくないですよね。
不満を上げればきりがないかもしれません。
逆にメリットは何でしょう?
一番は「場所を取らない」でしょう。限られた空間、予算の中で洗面脱衣室がコンパクトに
収まってくれるならありがたいですよね。広いリビングは家族みんなが喜びますし、一日の
疲れを忘れてくつろげる空間は家づくりのこだわりポイントだと思います。
また洗面室と脱衣室を分けた場合、洗面室・脱衣室・浴室・トイレの配置をしっかり検討して
おかないと、部屋数が増える分、家事動線が長くなってしまう場合があります。
■洗面台はどこに設置するのが良いのか
コロナウイルスが流行する中、玄関に近い位置での洗面や手洗いの設置を希望される方が
増えてきました。私がここ数年脱衣室以外で洗面台もしくは洗面カウンターを設置した
例としては寝室や玄関脇、廊下など色々です。リビングに設置されるお客様もいらっしゃいました。
それだけ洗面台は様々な場面で必要になってくるということだと思います。
皆が好きなタイミングで使える、お客様にも使ってもらいやすい等を考えるとオープンスペースが
良いではないでしょうか?
また、脱衣室に設置しようとするとサイズが決まってきてしまいますがオープンスペースや
リビングであればカウンター式の洗面台も設置しやすくなります。洗面台をインテリアとして
考えてみると違った目線で家づくりが楽しめると思います。
■身だしなみはどこで整える?
ひと昔前、私の母の時代はドレッサーを持っているのが当たり前でした。
実家にも3面鏡のドレッサーが使わない部屋に置かれています。ドレッサーを使い慣れている方は
寝室などに設置して大切に使っていられます。
しかし20代、30代の方はドレッサーを使った事が無いという方が多数です。
それを必要にもしていません。ではどこで身だしなみを整えるのでしょうか。
自分の部屋でテーブルに鏡を置いて整える方、洗面台を使われる方、色々だと思います。
ただ要望をヒアリングしていくと皆さん、洗面台で洗顔、スキンケア、ヘアドライ等すべて
そこで出来ると嬉しいとおっしゃいます。それば夜だけでなく朝も同様で化粧もそこで済ま
せたいとの事。これには私も同感です。家事の合間に準備を少しずつ進めたいのです。
特に子育て中であれば子供から目を離せないので一カ所で物事が完結できるのは重要です。
また、子供達も年頃になれば髪のセットにも時間が掛かるようになるかもしれません。
スタイリング剤を使えば手を洗う必要も出てきます。洗面台であれば大きな鏡もあり、
濡らしたり乾かしたり使い勝手が良いでしょう。
そうなってくると一般的なW750の洗面台よりは洗面カウンターがおすすめです。
鏡を大きくすれば2人同時に準備をすることもできます。家族が多い方は洗面ボールも
2個設置される場合もあります。
■洗濯はいつして、どこに干すのか
洗面室と並行して悩まれるのが脱衣室兼物干しスペースです。
共働き世帯が増えてきている中、夜に洗濯をする家庭も多いです。
そうなると室内干しがメインになってきます。また、それだけなく花粉やPM2.5、紫外線等の
理由で外に洗濯物を干さない家庭も増えています。
毎日の洗濯物・・・それも1回でなく複数回の洗濯、洗って干しての作業は家事をする
うえで非常に重要な動線となってきます。
よく見られるのが、洗面脱衣室を広めに設計し、ハンガーパイプ等を設置して物干しスペースを
設けたつくりです。
お風呂に入るのに衣類を脱ぐ→溜まった洗濯物を洗濯機へ投入→終わったらその場ですぐ干す、
というように動線のムダのなさが、このつくりの最大の魅力といえるでしょう。また、乾いた
洗濯物をたたむのに便利なカウンターや、タオルや下着類、ルームウェアなど、お風呂上がりに
すぐに身につけるものの収納スペースを併設しているケースも多いです。スペースに余裕があれば
ファミリークローゼットを設けるとより家事の時短や生活動線の改善につながるため、採用する
ご家庭が多いようです。
■脱衣室にも変化
洗面台に求めるものが変化している中、脱衣室にも求められる機能が変わってきています。
洗面台が独立することによって脱衣室が完全なプライベート空間となります。
基本的に家族以外の出入りはないため見た目を気にせず有効的にスペースを活用できます。
ただ、服を脱着する場所ではなく脱衣室に必要な機能を設けてあげましょう。
まず収納です。タオル、下着、洗剤類(ストック含めて)は最低限設置したいところです。
その他に暖房機能。浴室暖房と兼用する場合もありますが、脱衣室こそ予備暖房が重要です。
ランドリー機能を持たせた脱衣室には6帖用のエアコンを設置される方も珍しくありません。
高齢の方、高血圧の方が家族にいる場合は検討されても良いと思います。
■まとめ
今回は奥様がキッチンに次いで悩まれる洗面+脱衣室について様々なパターンを
お話しさせて頂きました。洗面室と脱衣室を分けることはメリット、デメリット両方あります。
ですが、デメリットよりもメリットが上回ると思っています。
予定外の来客があり、生活感あふれる洗面脱衣室に案内はしたくないですよね。
かといって常に完璧にしておくのは働いている身では難しい・・・。
パブリックスペースとプライベートスペースを分けておくことで少しでも気が楽になるの
ではないでしょうか?
家族しか使わないスペースは休みにまとめて掃除することにしても良いと割り切りましょう。